このページについて
このページは同人作家向けの海賊版対策について記載しています。
2021年1月に海賊版の規制に関する法改正がありました。内容は「契約ウォッチ」が詳しいですが、条件が整えば今後海賊版ダウンロードの利用者逮捕も発生すると考えています。ただ、出版社が代理人を務める商業誌と比べて、リソースの限られる同人活動で出来る事は限られていると思います。このページでは現時点でできる同人作家向けの海賊版対策を調べてみました。

人が苦労をして創りあげたものを、無断で配るなんて許せない。

同人販売サイト各社の海賊版対応を理解するために、海賊版サイトの仕組みを図解してみたよ。


違法なビジネスモデルができてるから、犯罪に加担する人が増えていくようです。
海賊版対策の種類
同人作品配信会社の行っている対策を纏めてみました。主には以下の①~③が行われています。以下に各対策の詳細を記載していきます。

海賊版対策その① 海賊版サイトへの作品削除要求

作品が掲載されている海賊版サイトやファイルのアップロードサイトに対して、直接的に作品の削除要望を出します。訴訟リスクを避けて削除を行うサイトもあるようですが、数が多くイタチごっこになります。また、個人で行う場合、個人情報が違法な活動を行う組織に漏れる可能性があり厳しいです。
配信会社 | 対応状況 | 実施方法 | 制約 |
---|---|---|---|
DMM(FANZA) | 対応 | 自動巡回または手動登録 | FANZA専売のみ対応 |
DLSite | 対応 | 自動巡回または手動登録 | DLSite専売を優先 |
個人での実施 | 個別で実施が必要 | 各サイトへの個別の連絡 | サイトの調査が必要 個人情報が相手に伝わる |

専売にすると売り上げに影響しそう。

専売であれば自サイトからの流出だと確信して削除依頼ができるのね。
対策と売り上げのバランスは難しいね…
海賊版対策その② 個人特定データを書籍に埋め込むソーシャルDRMの利用

作品のファイル自体にダウンロードした本人の固有情報を埋め込む、電子透かしや暗号化の技術を使う事で簡単に固有情報を削除できないようにする技術。以下の2つの効果を期待していると想定しています。
- 海賊版作成者の特定により、直接的に停止させる。損害賠償請求を行う。
- 違法アップロード、違法ダウンロードでの立件の際に、証拠物件として利用。
配信会社 | 対応状況 | 実施方法 | 制約 |
---|---|---|---|
DMM(FANZA) | 対応 | 「作品保護」を設定 | FANZA専売のみ対応 |
DLSite | 非対応 | – | – |
個人での実施 | 非対応 | – | – |

この対策は、どちらかというと将来にむけたものね。
海賊版対策その③ 海賊版サイトを検索結果から除外

アメリカのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)を元に、Googleなどの検索エンジンの検索結果や、CloudFlareなどのキャッシュサイトに、海賊版サイトの情報を掲載させない申請ができます。海賊版サイトを検索結果に出さないことで、結果的に違法ダウンロードを抑える仕組みです。直接海賊サイトのリンクを直接知っているユーザに対しては効果が無いですが、実際に本取り組みを実施した後に、正規の販売サイトでの販売数に効果が有ったケース(Tgetter)が有るようです。
個人で、検索エンジンに対して海賊版サイトにおける自作品の検索結果の削除をするまでの流れを以下に示します。
- 検索エンジンで自作品のタイトル(日本語及びローマ字で)や、FANZA/DLSiteの登録番号を検索
- 発見した海賊版サイトのURLを記録(確認の為としてもファイルのダウンロードはしない)
- DMCA報告サイトで上記URLを含めて削除申請
- 受理されたものは1,2日で自動処理されLUMEN DATABASEで公開
- 自作品の海賊サイト検索結果として「DMCA申請により削除」が表示されるようになる
実際の申請方法は初めてのDMCA申請。パクられた著作物を検索結果から消す方法に詳細な実施方法が記載されています。削除申請についての公式なFAQはこちら。
注意点として、削除申請の際に記載した情報は上記のLUMEN DATABASEで公開されます。実際の公開内容の例にリンクをします。公式なサークル名を会社名に記載するのが良いようです。
※2022/2/3 追記: 出版大手4社がキャッシュサイトに対して提訴とのニュースが出ました。キャッシュサイトのDMCA申請窓口も、この記事下部の「DMCA申請窓口」に纏めています。
海賊版対策その④ 購入実態のない悪評の削除依頼

正規な同人販売サイトの売り上げを減少させる目的で、購入実態のない悪評が掛かれることが有るようです。同人販売サイト各社に相談をすると悪評の削除ができます。

時々見かけて、なんなの!って思ってた。
まとめ
根本的な対策は法整備や運用の実績を待つことになりますが、今日被害を受けている人にとっては切実に対応したいものだと思います。ただ、作品の制作に注ぎたい力を使わないといけないという相反する想いが有ることも事実です。
現時点の情報で、現実的な対策は以下2点です。メリットデメリットがあります。
- 特定の同人販売サイト専売とし、海賊版対策に頼る。デメリットとしては販路が狭くなる。
- 複数の同人販売サイトで販売する。検索エンジンからの削除と悪評の削除依頼を自分で行う。

効果的な簡単な対策が無いのは寂しいです。
今後も、このページを更新します。皆さんからも情報お待ちします。
参考としたサイト
同人販売サイトの取り組み
- FANZA https://dojin.dmm.co.jp/help/illegal_upload_patrol
- DLSite https://www.dlsite.com/home/guide/circle/illegal
国内法整備及び取り締まりの状況まとめ
- STOP海賊版 https://www.abj.or.jp/stopkaizokuban
- 契約ウォッチ https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/cyosakukenhou202101
DMCA関連の問い合わせ窓口
- Google https://support.google.com/legal/troubleshooter/1114905?hl=ja
- Cloudflare https://abuse.cloudflare.com/
- AKAMAI https://www.akamai.com/ja/legal/privacy-and-policies/akamai-dmca
- LUMEN https://lumendatabase.org/ (DMCA申請の保存先)
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